Mogwai@新木場STUDIO COAST 11.Jan,2009


夕焼けに染まる森戸海岸を背に逗葉新道へ向かう。山の稜線の間には大きな満月。高速道路を東へ進むにつれ、月は山からレインボーブリッジ、高層ビルへと背景を変えていく。運転席の窓のフレームにずっと満月を収めながらの幸せなドライブ1時間、なにか良いことが起こりそう〜
到着したのは新木場、モグワイMogwai)のライブ。前座の演奏とセッティング待ちでスタートしたのは20時を回っていたかな。最初は静かなギターのメロディで構成された曲が続く。ありゃ、もしかして気取った音楽をやりたいお洒落さんバンドだったかも。このまま終盤までいくなら退屈しそう...と、不覚にも思ってしまった、わたしがアホでした。
おや、なんだか音圧が上がってきたぞ..と感じた直後に爆音炸裂。押し寄せる轟音の圧倒的な迫力にもう何も考えることもできなくなって、あっさり持っていかれた。ビリビリと肋骨のあたりが振動し身体が共鳴するのがわかる。「音に触る」とはまさにこの感覚。静謐なギターとノイズの轟音とを交互に行ったり来たりしながら、その間隔とボリュームを彼らは完全にコントロールしている。音に対する美意識と絶対的な自信をもって繰り出される新しい地平へ、聴く者はただ従うしかない。
不思議なのは、これほどまでのノイズ音なのに暴力的だとか負のエネルギーをまったく感じないこと。矛盾するようだが、バリバリと測定不能の轟音の洪水に身を委ねながら心の深いところにある静寂に触れ、だんだん気分が落ち着いてくるのを感じるのだ。経済不安やガザへの攻撃、過密都市のストレスなど、生きているだけで心がザラザラしてくる今のわたしたち。体裁良く量産された「泣ける歌」などでは決してなだめることなどできない心の深い傷や闇に、彼らが提示するノイズ音がリアルな共感をもたらし、わたしたちの尖った神経をなだめ、鎮めてくれる。
話題のアルバムをサクサクっとチェックしてipodにダウンロードし、気軽に聞き流しただけでわかっているつもりになってた。やっぱライヴに足を運んで生の音に触れなくちゃ駄目だ〜 大人にればなるほど「これはこういうもの」と無意識にジャンル分けしていて、いつかは彼らのような開拓者が奏でる新しい音のうつくしさを理解できなくなる日も来るかもしれない。でもまだもう少し、感受性の限界を引き延ばしたい。混雑する会場で延々待たされて、何時間も立ち通しだったけれど、今夜この場で新しい世界を垣間見たことに感謝しよう。
...って思ったのよねー! って、帰りの車中で興奮気味に話したら「彼らが音楽で表現しようとする普遍は、まさにそれだね。キミのは郊外に住む奥さんの感想(笑)で、例えば同じ会場に来ていた都会の女の子なら、このごろ恋人とうまくいかないのだけど、ガンバってもう一度彼の心を取り戻してみよう。と、帰り道にはポジティブな気分になったんじゃない?」 そうか、世代や国を越え彼らの音楽は誰をも応援しちゃうという普遍がそこにあるわけね。すでに「恋は遠い日の花火」となってしまった主婦はそうナットクしたのでした。





ブログランキングに参加しています。

オーガニック料理部門はこちらをご覧ください↓

にほんブログ村 料理ブログ オーガニック料理へ