Keith Jarrett Solo 28&29.May.2011 @オーチャードホール


キース・ジャレットのソロコンサート2011@オーチャードホール
出掛けたのは、28日29日の両日。ソロだしね、 インプロだしね、どちらの日もこれは見逃せないよと。
1日目は、友人夫妻と妹も一緒。ピアニストの友人からは、音色やテクニックの素晴らしさについて、いろいろ解説してもらいつつの、音楽愛好サークル状態。Blogを通じて交流(ディープな音楽ネタや料理&ワインのお話で盛り上がります)のある Jakeさんとも、ついにお会いするという楽しいハプニング付きで、友と過ごす賑やかな夜を楽しむ。
2日目は、昨夜の興奮も冷めやらぬまま、静かに、深く、キースワールドへ没入。
どちらが良かったとか、野暮な話は無意味。両日とも素晴らしかったに決まっている。
今回のキースは、いつもの、やや神経質な感じは陰を潜めていて、終始リラックスした雰囲気だった。音のうねりの中を探求して、死と、そして最後に命の再生を讃えるかの如しクライマックスを迎えるといった、若い頃のライブアルバムで聴くような、長丁場の構成ではなく、小休止が挟み込まれるタイトな質感。
これが、すごく良かった。演奏の合間には、鍵盤から手を下ろして余韻を残す。演奏と演奏の間の、その静寂さえもが、彼にかかると、音の世界を表現し尽くす要素になってしまう。こんな演奏に遭遇するのは初めてだ。
会場の、異様なほどの(そして、どこまでも静かな)熱気のせいか、キースが目前に居るという感激の余りか、曲と曲の間に、思わず拍手してしまう観客たちを、キースは苦笑しながらも寛容に受け入れていた。
ところが、2夜目のキースの集中力は、始まりから研ぎすまされて凄みがあった。同じその拍手に対しても、昨夜は、鍵盤に顔を向けたままさっと片手を挙げて制し、テンションを切らさずに次のフレーズを紡ぎ出す。
信じられないほどの完成度と、エモーション。聴き終わって、いつものように頭もカラダも痺れたような感覚に包まれて、心地よくクタクタになる。
そしてアンコールは、予想通りにスタンダードで。2夜目は、もう、会場総立ちのStanding ovation!
コンサートの冒頭や合間のMCで、震災についての慰めや励ましといった言葉など、一言も口にしなかったキースだったけれども、このアンコールは、日本のわたしたちへ込められた、彼の祈りそのものでした。


アンコールで2夜とも演奏された "Somewhere Over the Rainbow"
映像は84年東京公演の若々しいキース。

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