夏が本番 ☆ ぬか漬


気温が25℃を越えてくるにつれ、ググッと旨味の増す、ぬか漬。
毎年5月のGWあたりからぬか床を仕込み始めて、ゆっくり発酵をうながしつつ、夏本番へ。母がよく「冬のぬか漬は不味いわね。だから休ませちゃうのよ」と言っていたけれど、確かに、寒い季節には漬け上がるまでに数日掛かるうえ、乳酸菌クンたちの活動が緩慢なのか、どうもぼんやりした味になってしまう。それが、キュウリや茄子の夏野菜たちがじゃんじゃん採れる頃になると、塩味と酸味、発酵の旨味がぎゅっと濃縮してきて、「あぁ、これこれ。この味」と思わずつぶやく美味に^^
やっぱり夏の食べ物なのだなー。冬にはぬか床を休ませておくに限る(それに、1年中ぬか床を腐らせないように気を張り続けるのも、疲れちゃいますものねぇ)冬には白菜漬、沢庵漬、べったら漬、お正月の膾に、春先には新生姜の甘酢漬etc...と、ぬか漬の代わりになる漬物はいくらでもあるのが、和食のよいところ。そもそも白菜漬も沢庵漬も、気温が高い季節にはあっという間に傷んでしまうから、冬以外に美味しく漬けることはできない。
ふむ、冷蔵庫を利用すればよい? せっかくキッチンの隅に放ったらかしでも自然においしく漬かるものを、わざわざ冷蔵庫で、場所を占領されながら管理するなんて、少々ナンセンスと思いませんか。
それまではわたしも、便利が一番の価値で、なんでも「買えば済むじゃん」という考えでした。それが、自分で日々漬物をつくるようになってから、発酵のフシギには驚くことの連続。旬のいっとき大量に採れる食材を、腐らせることなく、味に飽きないよう、しかも空気中に居る常在菌の力を上手に利用して、少ない労力で(ニンゲンが手を掛けるのは、ほんとうに少しだけ)いろいろな保存食に変換する。昔の人の智恵ってすごいなぁと、毎回ワクワクする。

それに、たいしたコストも手間も掛けない、こういうお漬物が身近にあると、献立に迷うことも少なくなります。だっていつでもキッチンにあるし、買ったモノとは比べ物にならないほど美味しいのだもの。(ぬか漬も白菜漬も、漬け樽から出した途端に味がどんどん落ちて行く。つまりスーパーマーケットにあるパック入りお漬物は、自家製漬物とはまったく別の食品なのでしょう)
あとは炊きたてゴハンと味噌汁、そのとき手に入る食材の主菜を1品。はい、でき上がり^^
「あぁ忙し、忙し」と言いながら、せっせと漬物を仕込む祖母や母の姿は、一見、家事に振り回されているように見えて、じつは効率よくおさんどんする智恵だったのねと、今はナットク。
現代生活は、あふれる情報の中から、なんでも自己責任で選択し、決定して、コントロールしなくちゃならないことが多くて疲れちゃうけれど、大地の循環をよく知り、恵みに感謝し、そのとき手に入るモノを素直にいただく...という風に、「食べるモノ」「食べる行為」を、自然に寄り添い、その仕組みへ自分の方を合わせていくように変えてみると、肩の荷が降りとってもラクチンなのでした。それに栄養もあって経済的ね^^

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