好きなものと寄り添う暮らし

白夜の大岩壁に挑む~クライマー 山野井夫妻~ [DVD]

白夜の大岩壁に挑む~クライマー 山野井夫妻~ [DVD]

先日のNHK再放送をご覧になった方も多いでしょう。8千メートル級の山を無酸素、単独、しかもほとんど垂直の壁をルート開拓しながら登ると聞くだけでグッと緊張が走る。スポンサーをつけ大編成を組んで登る山岳隊とは対極をなすスタイル。続いて読んだ沢木耕太郎の『凍』で描かれるクライミングの様も手に汗握る。次々と山を制覇する偉業もさることながら、山に登ることのみに焦点を合わせた彼らの生活はまるで禅僧のそれのようで、その徹底したシンプルさに心をわしづかみにされる。
「凡人には真似できないねぇ」と思った途端に受け入れがたく感じてしまうような生き方。しかしそんなこちらの構えを溶かすように彼らには気負うところがみじんもない。ただ自分の好きなこと、求めるものに寄り添って生きるという静謐な美しさが漂っていて、平凡な暮らしを営む者にも意志さえあればこの満ち足りた感覚を味わうことができそうだと思わせる。
ヨガの練習は毎日たった1〜2時間のことだけれど、一日の生活の配分に余裕がなければ、きちんと自分に向き合うような満足のいく練習はなかなか続けられない。そのために必要のないことには時間を割かず、なるべく単純な生活にシフトして練習にフォーカスしているつもりが、少々忙しくなるだけでマネージできなくなっちゃう。まだまだそぎ落とす余地はあるなぁとドキュメンタリーを観て思う。
『美しい山、未知の世界に触れてみたい、自分の肉体を試してみたいというのもあるけど、それだけじゃないですね。「ゾーン」というじゃないですか。集中して自分が普段持てないような力を出すとき。気持ちいいですよね。周り何キロにもわたって誰もいない。薄い酸素を吸って、強い紫外線を浴びて。空は水色じゃなくて紺色なんですよね。そうするとね、制御しなくてもゾーンに入りやすいんです』
『家賃や電気代が払えないとなれば、お金が欲しいですけど、物欲がまったくないんです。たまに都会の雑踏を歩いていると、オレの方が楽しんでいそうだな、幸せだろうな、と思う時はありますよ。スポンサーをつけないのも、条件が悪ければ、引き返せる状態に常に身を置いていたいからです。登山そのものも、費用をかけなければかけないほど、質の高い登攀ができるんです』
インタヴュー引用 Asahi.com「戦士のほっとタイム」2004.10.06
http://www.asahi.com/
NHKスペシャル「夫婦で挑んだ百夜の大岩壁」2008.10.20 O.A.
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081020.html



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