「革命は文学からしか起こらないのです」『切りとれ、あの祈る手を <本>と<革命>をめぐる五つの夜話』佐々木中著

革命はFacebookから、ではなかった? 
いやもう、ガツーンときました。読了後、自分の中の何かが変わってしまった。さもわかったような顔をして気楽に生きるため、普段は心の奥へ何層にも巧妙に隠していたモノに触れちゃったような。
読むということは、どういうことか、その本質、そのわからなさへと深く分け入り、こっちへおいでと誘う。
著者は言う。読むということは、無意識に接続することであり、読むという行為によって自らの無意識を変革させてしまうほどの冒険に乗り出すようなことなのだ。これはとても怖い事だから、フィルターをかけられ単なる情報に還元されたものだけを手に取って、安心したくなる。しかし、こんなのてんで読むということにはならない。そんなものに価値があるのか?と迫ってくる。
「文学こそが革命の力であり、革命は文学からしか起こらないのです。読み、書き、歌うこと。そこからしか革命は起こらない」
博士論文に加筆、出版された前著のデビュー作が、思想界を震撼させたというその評判に納得。中身をもっと説明したいような気もするけれど、ネタバレでせっかくの醍醐味に水を差しそう。
夜話というタイトル通り、著者の語りがそのままなので、読みやすい。それは、内容が易しいという意味ではない、著者の圧倒的な説得力に、気分良く陥落させられることから受ける印象だ。
情報の奴隷になって安穏としているわたしたちを痛烈に批判し、読むということを通じて、自ら考え、生き方を選びとり、人類が生き延びる闘いとは、個人がどう振る舞うということなのか、語る口調は穏やかにして、覚めていながら熱い。
一気に読み終え、いよいよ前作『夜戦と永遠 フーコーラカンルジャンドル』を読み始めたところ。
夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル

夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル



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