昔ながらの製法 無添加の干柿


佐渡から届いた干柿。じっくり天日で干しあげた柿はお日様のパワーを感じる快い甘さ。
昔ながらの干柿は、皮をむき、寒風に吊るし、均一に乾かすために途中で手もみしてと、出来上がるまでに約5週間。晩秋からスーパーマーケットには機械乾燥されたものがたくさん並ぶ中、ぐっと我慢して手作りの干柿が届くのを今か今かと待つ。
硫黄で燻蒸していないから見た目は黒っぽいけれど、これが漂白されていない本来の色です。表面には真っ白に糖がふき、手で少しずつ裂きながら口に運ぶと、堂々たる甘さ。うーん、やっぱり待った甲斐があった! いくつかをそのまま楽しんでから、つぎはお菓子にアレンジ。くるみを中に詰めてスライスすれば韓国風のお茶うけ。ちょうど韓国茶をお土産に頂いたのでセットでおやつにしよう。
渋柿の収穫後、ちょうどお正月の支度を始める頃に出来上がる干柿は、甘いものが手に入りにくかったその昔、年越しのとっておきのお菓子だったことでしょう。砂糖やクリームをふんだんに使ったお菓子が店にあふれ、いつでもなんでもお金さえ出せばパッと手に入るご時世だけれど、こんな風に心待ちにする素朴な食べものが教えてくれるコトは大きい。
なぜそんな風に思うかというと、昨日、マチネのコンサート帰りに街へ出たら年末の人出が少ない東京は、渋滞もなくスイスイ、調子に乗って青山、六本木、品川と高級グローサリー店へあちこち寄っては大量に食材やワインや色々を買い込んでしまったから。洗練されたパッケージと珍しい素材を組み合わせたデリやお菓子などがずらりと並んでいるショーケースを目前に、冷静さはあっけなく吹っ飛ぶ。自分の分だけでなく「○○ちゃん、これ好きかも〜」とプレゼントと称して買いまくり、帰宅してから買ったものをテーブルに並べて唖然とした次第。
最先端のトレンドを知るのに、ときどきああいった店をのぞくのは勉強になるのだけれど、欲望のスイッチが入ってしまうとアウト。ほんとうを言えば、最後の店あたりでは、どんなに買っても欲望というのは満たされることがないということに心のどこかでうすうす気づいていたのに、それでも止められなかった。
反省して翌日冷蔵庫を開けるとイヤ〜な気分になるかと思ったら、あれ、そんなこともなかった。立ち直りが早いっていうか。食べものに罪はない。さて、我が欲望の残骸たちをこの休暇中にどうおいしく食べよっかな。
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