演者交代の秋


茶色に乾燥した紫蘇の穂の根元から、すらりとした水仙の葉が青々として伸びてきた。夏から秋へ季節が移れば、庭の演者もつぎつぎと交代する。

7月、うつくしい紫で庭のふちをぐるりと飾ってくれていた赤紫蘇。梅干しに漬け込んだり、紫蘇ジュースにしたり、おいしさにも一役買ってくれる、丈夫で世話なしの可愛い子たち。紫蘇がグングン草丈を伸ばす頃、花を終えた水仙の葉は、まるで入れ替わるようにひっそりと枯れ、その場所を夏の草花に譲る。夏の間はこの下に水仙の球根がスヤスヤ眠っていることを、すっかり忘れていた。
こんな風に自然が調和する様を見ていると、「こうでなくちゃ」「こうしたい」と、いちいち浮かれたり凹んだり心を乱す自分が本当に勝手な存在だと知らされる。物事はなるようにしかならないのに、その流れをせき止めたいという欲求に巻き込まれ、挙げ句にキツイ、苦しいとボヤくのは、人間の独り相撲だなぁ。成功も、若さも、健康も追いかければ追いかけるほど、思い通りにならないことが苦しくなる。
こちらがどんなに焦っていようと、ぼんやりしていようとも季節は同じペースで巡り、いつかまた芽吹く日がくる。だから安心して今日一日を存分に味わいなさいと、風にゆれる水仙は語りかけてくるよう。




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