みりん界のエルメス!? 三河みりん


おせち料理用にと買い求めたみりん。
ショットグラスになみなみと注いじゃって、いよいよこんなものまで飲もうというのか...! と、呆れた方も多いでしょう、とく我が飲んべぶりをご存知の方々。
その昔『戦国時代に作られ始めたみりんは「蜜淋酒」「美淋酒」「美淋酎」と呼ばれ、淡い甘さを楽しむ高級酒だった(三河みりんHPより)』そうで「角谷文治郎商店の三河みりん」は、ほんとうにこのまま飲めるのです。見て!この琥珀色。香ばしく、まるで熟成したリキュールのような味わい。もち米を麹で発酵させた本格みりんは、甘味料や醸造用アルコールを添加してインスタントに製造された「みりん風」調味料とはぜんぜん別の物。時間をかけゆっくりと自然の発酵過程を経た製法は、しみじみ奥行きのあるホンモノの味を作り出す。その風格は、まさにみりん界のエルメス!? 普段は「福来純 本みりん」を使っていてこれも十分に美味しいのだけれど、正月用にランクアップみりんを用意し、手間ひまかかる煮しめにも浮き浮き取りかかろうという作戦。
そういえば、先日開催のたべラボ・ワークショップの折、参加者のみなさんが棚に並ぶ調味料にハゲシく反応し「このお醤油はどこで買えますか?」「この紙に包まれたのはナンですか?(←京都の「千鳥酢」)」と質問の嵐&ケータイ写真を撮りまくり ということがあって、どうもここん家の料理が(フツーの家庭料理なのに)なんだか美味しいと思うのは、こういう調味料をずらりと揃えているせいらしい...と、腑に落ちたご様子。
皆さま、ご明察! 家庭料理の腕は「食材選び」と「ホンモノ、古式、上等」の調味料でほぼ決まると言っても過言ではない。旬の素晴らしい素材を前にすれば、人為的なワザなどかえって邪魔になるというもの。素材の良さを引き出してくれる調味料にすべてを任せ、わたしは下僕に徹するだけ。

三河みりん」を使った八頭(やつがしら)の含め煮。家庭菜園の掘りたて八頭は小さく切ると煮崩れてしまう。不格好な盛りつけはご勘弁ください、箸ですうっと割って口に運べばマッシュポテトのような滑らかな舌触りと、追いがつおした濃厚な出汁がふわっと香る。凍える冬の日に学校から戻ると、母がストーブの上でコトコト炊いていた八頭。夕食まで我慢できずにガーゼで包んだかつお節を脇にのけ、つまみ食いした思い出と一緒に味わう。
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