自家採取の種と園芸家コミュニティ


自家採取の種は、上の束がルッコラ、下のはインゲン。
インゲンは、父が毎年菜園で自家採取している種を送ってくれたもの。ルッコラは我が家のコンテナで種にしたもの。サヤを開けると種が6〜8粒ほど入ってます(矢印のところ、見えるかなー)昨秋種まきしたのが春を迎えた途端にひゅるひゅるーっと伸びてあっという間に花が咲いた。花が咲いちゃったら、もう葉っぱは堅くなって食べられないのでそのまま鑑賞用に。白い風車のような花びらが次々と咲くのを楽しんだ後、種を採取するため花が終わった茶色い茎のままデッキに置いといた。

↑こんなかんじ。
花とりどりの春の庭には異質で目を引くのか、ゲストが園芸好きの方なら必ず「これなに??」って興味を示し、話題は自家採取の種へ。種にもいろいろ種類があります。

  • F1種...一代雑種の交配種。「F1」「ハイブリット」「一代交配」と種のパッケージに表記されてる。病気に強い、多収穫、作物の大きさが均一という特徴をつくるために人工的に交配させた種。成長が早くて大きさの揃った収穫物は管理が楽で流通にも乗せやすいから、生産者に歓迎されるといったメリットがある一方で、一代交配種の作物から種を採ろうとしても種自体ができなかったり、採取しても次代に同じ性質が出るとは限らないので(メンデルの法則ですね〜)翌年同じようには育たない。前年と同じ育てやすさと多収穫を望むなら、種苗会社から毎年種を購入しなければならない
  • 固定種・在来種...こういう名前の品種があるというわけではなく「F1種」「交配種」に対して、昔ながらの採取方法で継いできた種をこう呼ぶ。代々その土地で育つ種は、親から子へと、その風土・気候に合った特質を引き継いでいく。

人間の都合と目的に沿った性質をつくりだすためバイオテクノロジーを駆使する種の交配は、農家さんの負担を軽減するためとか、より高収益を上げるためとか、効率を優先させた結果広まったものなのだと思うけれど、短期間でたくさんの作物をつくるには成長を促進するための化学肥料や、肥料による栄養過多で増える雑草や害虫を除くための農薬をつかうことになる。農薬の使用はミミズやてんとう虫などの益虫も殺してしまうから、土はどんどん痩せていって、大量の有機肥料(鶏・牛糞や骨粉)や土壌改良剤を買ってきて入れなくてはならない。そういった投資ができない生産者は取り残され、お金を借りてでも効率的な農法(ということで奨励されてきた近代的農法?)を導入しなくては生き残れないのかもしれないけれど、たくさんとれすぎてしまったせいで市場価格が下がり、売れば売るほど損をしてしまうからと、青々と広いキャベツ畑をブルトーザーでガリガリ掘り散らす「処分」の場面をTVで観るのはほんとうにせつない。
誰かが悪いというよりも、消費者のわたしたちも含めてみんながちょっとずつ面倒くさいことには目をつぶり、楽な方へ流されていった結果だと思うので、どうしようもないと言う前にせっせと種を採ってみる。1株を収穫せずに残しておけばやがて何百粒もの種になり、ご近所さんや菜園仲間で分け合ってもまだ余るくらい。野菜クズからつくる堆肥と無農薬で育てたトマトは大きさもバラバラだったり日の当たる具合で色にムラがあったりするけれど、ただ甘いだけじゃなく複雑な濃い味がしてみずみずしい。遊びに来る友人たちにも自分で収穫して味わってもらう。そのおいしさを知ればスーパーマーケットで野菜を買うときもオーガニックを選びたくなるし、有機野菜がなければより新鮮な「地物野菜」を探すようになる。プラスチックトレイに行儀良く並んでいる、遠くからはるばるやってきた野菜がどんなに安くても、近所の農家さんが届けてくれる少々不揃いの地場産野菜を選びましょう。地元産の有機野菜が売れるようになれば、生産者も店もそちらへシフトし、わたしたちもおいしくて安全な野菜がいつでも食べられるようになってみんなハッピーになると思うのだけれどな。有機栽培は土壌にも優しいのだから地球もハッピー。マイバッグやマイ箸を持ち歩く他にも、買いものの仕方ひとつでエコになるのですよね。
菜園話に盛り上がった知人から、ビーツの種(オーガニック)が届きました♪先週おすそわけしたハラペーニョとインゲンの種のお礼にって。栽培法の情報交換をしたり、珍しい野菜の種が舞い込んでくるのも園芸家同士のおつき合いの楽しさ。ありがとうございます!さっそく種まきします〜


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