The Take-Away Shows


「The Take-Away Shows」にはインディーズのミュージシャンばかりじゃなく、R.E.M.も登場している。暗がりの道端に車を停め、ハザードランプ点けながら演奏してるよー、たまげた。そしてカッコいい〜
前回の続きです。
MogwaiのDVD、あまりに映像が素晴らしいので、一体この演出家は誰なの??と調べてみる。
ヴィンセント・ムーン(Vincent Moon)は、仏の映像作家。
「ミュージックビデオの見直し」の提案、というコンセプトの「The Take-Away Shows」を、アートプロデューサーのクライド(Chryde)とふたりで立ち上げ、仏の音楽情報サイトLA BLOGOTHEQUEの1コーナーとして無料配信している。
ミュージシャンへ直接交渉し、即興、ワンテイクで撮るというスタイル。ミュージシャンは、公園、カフェ、遊歩道など、思い思いの場所やシチュエーションで演奏する。演奏場所へ向かう移動中も撮影したり。
街でいきなり演奏するそうだから、通行人は彼らのファンとは限らないし、いろいろなハプニングもあるようだけれど、それも映像の一部としてそのまま流れる。予算をかけて入念に作り込んだPVとは違うので、ミュージシャンたちもリラックスして自然体だし、撮影中にその場で偶然に映る、街の様子や人々の顔も、リアル。音楽は決して虚構ではないこと、生活の中にあって、人とのつながりを感じさせるものだということを思い起こさせてくれる。そのデリケートな表現に心奪われ、アーカイブを次々観てしまう。基本的にノーギャラ、まさに音楽好きが、音楽好きのためにだけ撮る、スウィートな作品群だ。
この一連の映像の実績を買われ、DVDの監督に指名されたとか。Mogwaiが、満を持してライブDVDをつくるのだから、そりゃただの監督を使うわけないよね。
2006年に始まったこのシリーズは、すでに100タイトルを越え、ヴィンセントひとりで撮っていた頃から、監督も数人に増えているようだ。こんなに魅力的なら、人を巻き込む力もあって当然。
彼自身は、カメラひとつであちこちを放浪しながら撮影するプロジェクトを2008年から始めている。サイトには、世界地図に残される彼の足跡。こんな新しい表現、ワクワクするなぁ。

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MOGWAI『BURNING 』LIVE DVD

バーニング(DVD付)

バーニング(DVD付)

発売を待っていたモグワイMOGWAI)のライヴDVDを週末に。
昨年「新木場STUDIO COAST」でのライブ以来、熱にうかされたようになってます。iphoneに落として移動中に聴く定番(ヘッドフォンをしないといけないから。家のリビングルームでは過激すぎる、あの爆音)
しかしながら、ライブのときに体験する、肋骨に響いて来るほどの音圧、ノイズの洪水、あの震えがくるような静寂と轟音との行ったり来たりを、CDではなかなか同じように感受できない。聴くたびに、あのときの感覚を思い出し、「あー、またライブへ行きたい」と思うためのツールになってました。だから、DVDでも、あの感じをどこまで再現できるのかなぁと、あまり期待せずに観始める。
いやー、かなり肉薄してます(ヘッドフォンで聴くとさらに良いと、どこかのレヴューに書いてあった)もちろんライブ会場で聴くのとは違うのだけれど、作品としてすごく楽しめる。ミックスをメンバーのジョン・カミングスが手がけたそうだから、なるほど妥協なしだ。それから、映像が素晴らしい。ライブが行われたN.Y.の街、会場へ向かう人びと、彼らの演奏、観客の表情のインサート...etc。まさにモグワイのファンなら共有できる、期待、熱気、直接体感するあの音、演奏に身を委ねる感じ、彼らの音へ対する徹底的な美意識、爆音の中の静けさ、といったすべてが表現されている。
観終わって「予想をはるかに越える出来だった」ことに満足、しかしライブへ行きたいキモチは、これでますます盛り上がっちゃった。
今週末、メタモルフォーゼで来日公演があります。前に観たときは、音響に定評のあるハコだったから、あまりに良過ぎた。今回は野外だけど、どうなるのかな? でもやっぱり行きたい〜


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オマール・ソーサ(Omar Sosa)Live2010.8.3 @ Blue note Tokyo


オマール・ソーサのライブ。真夏の夜にアフロ&スピリチュアル・ジャズ、暑気払いにちょうどよいかも!と出掛ける。
キューバ出身「鍵盤の魔術師」と呼ばれるオマールは、エクアドル、スペイン、サンフランシスコと拠点を移しながらワールドワイドに活躍するミュージシャン。97年にリリースされた『Omar Omar』には魅せられましたね〜
今回はアフリーカノス・カルテット(OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO)での来日。アフリーカノスはアフリカとフリーを合わせた造語だそう。
メンバーも、構成も、ラテン、アフリカ音楽、中東っぽいサウンド、ジャズ(3曲目はマイルスっぽかった。原曲は彼?)と世界級。音楽は他のどのジャンルより融合がいち早く起こる芸術だと思うけれど、オマールはその最先端を走る。サービス精神も満点で、観客を楽しませようと意欲的。
中盤に、少々ダレたのは、きっとあまりに高度なトライに、楽しむ気満々の観客サイドがついていけなかったからかも。オマールの音楽は(きっと彼のキャラを反映して)真面目すぎず、深刻でもないし、緊張を強いるようなサウンドじゃないから、耳に馴染み易い。今夜も今までのファンクなノリを期待して、たぶんファンは集まっている。だから「おや?」って反応が多かったのかも。ところが彼は、とっくに新しい平野へ歩みを伸ばしていた。
アンコールは、多少違和感を持て余し気味だったわたしたちのために、ぶりぶりのフリーで締めてくれました。うん、満足。このさじ加減、憎いねぇ。
客席に女子グループ率が多くて、ちょっと意外だった。こういうジャズを愛する女性が増えるのは嬉しい〜


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ボロット・バイルシェフ Bolot Bairyshev ライヴ@cafe もうひとつの風景


ヨガのクラスを終えてから、簡単に支度して軽めの夕食。アボカド、クレソン、新玉ねぎのサラダ&アンチョビとクリームのスパゲッティ。その後は近所の喫茶店で開催されるライヴへ。
ボロット・バイルシェフは、アルタイ共和国の歌手。アルタイには、シャーマンによって歌い継がれて来た「カイ」という伝統的な喉歌(Throat-singing, Overtone-singing 倍音を響かせた歌唱法)があって、彼はその歌い手である。
倍音唱法といえば、モンゴルのホーミーが有名ですね。チベットの声明とか。実際に間近で聴くのは初めてだった。
ものすごい低音と一緒に高い音域も聞こえて来る、幻想的な歌声。まさに大地を鎮めようとする祈りだ。目を閉じて聞き入っていると、かの地へ行ったことはないけれど、広大な草原を渡る風や、森の静けさ、連なる山々の風景が現れて来る。
2時間弱のライヴは短い。一晩中でも聴いていたいような、音のうねりと波。

音楽も含めて、あらゆるシーンでグローバル化が起こっているが、どんな時代にあってもアーティストはこうして自国の文化、民族のルーツを表現し続けるのだなぁと思う。バイルシェフが大スターになり世界中のミュージシャンと演奏することによって、アルタイでは彼を目標にする人々がたくさん現れたとか。そしていつしか歌い手が減って廃れそうになっていた「カイ」も、見事復活したのだそうです。



追記2010.4.9
いまどきの、テクノミュージシャンとコラボするとこんなかんじ。バイルシェフさんったら、タダ者ではありません。



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『ベルリン・フィルと子どもたち RHYTHM IS IT! 』DVD

ベルリン・フィルと子どもたち スタンダード・エディション [DVD]

ベルリン・フィルと子どもたち スタンダード・エディション [DVD]

うっかり知らずにスルーしちゃっていたドキュメンタリー(××)こんなに素晴らしい作品を見逃していたとは...!
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者で芸術監督でもあるラトルの呼びかけでスタートした教育プログラム「Zukunft@BPhil(未来@ベルリン・フィル)」では、楽団員が町に飛び出して、音楽にそれほど馴染みのない地域の人々や子どもたちと交流し、様々なプロジェクトを展開している。
その中のひとつ「ダンスプロジェクト」は、ベルリン在住の子どもたち250名が「春の祭典」を踊るというもの。ダンサーを志す若者が一部加わっているものの、ほとんどが未経験者の8歳から20歳までの子どもたち。あの地から湧き出るような不協和音とリズムの洪水を、猛特訓の末に踊るのだという。
様々な国籍、階層から集められた子どもたちは、貧困、家庭崩壊、難民という運命と闘いながら日常を生きている。冷笑したり、しじゅう身体を揺らしたりしているのは、不安を紛らわすため。過酷な環境下では、物事に対し真剣にもなれず集中することも難しい。おっかない先生のシゴキに「なぜこんなことするの?」と最初は戸惑うばかり。
やがて、振り付け師ロイストン・マルドゥームの情熱と忍耐に導かれ、子どもたちは次第に別人のような眼差しと動きを手に入れていく。稽古の初め、彼らがまだ動機を持つことができないでいる様子に、ロイストンが放つ ” Don't think that we are just doing dancing. You can change your life in the dance class!” という言葉は、彼らの心にグイと入り込み、闇に触れる。その瞬間、もう泣けちゃって、泣けちゃって。
「僕たちは19世紀のやり方で音楽家を育ててきたけれど、それは現代には通用しない。そうすれば芸術はいつか消滅してしまう。21世紀はもっとユニークなタイプの人、一見関係のないものともの、人々とを結びつけるチカラを持つ芸術家が求められているんだ」というラトルの発言が印象的だった。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 公式サイト
Education Zukunft@BPhil
http://www.berliner-philharmoniker.de/en/education/



↓今はブラームスを聴きながら、このブログを書いてる。交響曲第4番(ブラームスの中でも特に好き!)を、これでもかって酔いしれた演奏されるとシラケるが、ラトルは抑制が効いてシック、なのに華やか。

ブラームス:交響曲全集(DVD付)

ブラームス:交響曲全集(DVD付)




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Pat Metheny『Orchestrion』

オーケストリオン

オーケストリオン

サウンドはまぎれもなくPMGワールド。いつものようにワクワクする。
タイトルのオーケスリオン(Orchestrion)とは、19世紀から20世紀にかけて実在した、複数の楽器を同時に演奏する自動演奏器だそうです。これをコンセプトに、パットが新しくつくりあげた現代版オーケストリオンは、様々な楽器と、少しずつ違う量の水を入れたボトルまでが棚にずらりと並ぶ。それに囲まれ、同時演奏でパットがギターを弾くという趣向。
むかしのオーケストリオンと違うのは、プログラム(むかしはパンチングカードの穴)を読ませて単に再演奏させるだけではなく、演奏をコントロールできることにあるらしい。そのための電磁スイッチを開発したり、空気力学などのテクノロジーを駆使して、しくみをつくりあげたとか。飽くなき探求心に脱帽。
コンピュータの打ち込みでも、バンドと一緒に演奏するのでもない、自動演奏のアコースティック楽器と共演する。そのアイデアのひらめきを見事に実現させた革新性を、頭ではじゅうぶん理解できるし、スゴい!と思う。しかし、眼前に現れたこの初めての体験、凡人のわたしはなかなか受け止めきれないでいる。他のレビュー見ても、素晴らしいサウンドに興奮しつつ、みんな一様に困惑しているようだ...^^;) 「ちょっと笑える」「バンドのメンバーに指示を出すのが面倒になったのか?」...だよね。
芸術家が見ている視線の先に何があるのか、わたしたちはただ追いかけるしかないわけだが、我が身の中の固定観念が揺らぎモヤモヤする経験こそがアートだし、こんなことを味あわせてくれるアーティストはそういない。
現代版オーケストリオンを見て、あっけにとられたい(?)方は、こちらの映像をどうぞ。パットも熱のこもった口調で語る。これはライヴへ行かなくては!

来日公演は6月の予定。
ワーナーミュージックジャパン 
http://wmg.jp/artist/pat_metheny/news.html#28679





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『ヤング@ハート(Young@Heart)』DVD

ヤング@ハート [DVD]

ヤング@ハート [DVD]

92歳のおばあちゃまが、スタンドマイクの前で「Should I stay or should I go?」とザ・クラッシュThe Clash)のナンバーを格好良くキメる、ぶっ飛びのオープニング。あるロックンロール・コーラスグループを追ったドキュメンタリー。
メンバーの平均年齢は80歳。マサチューセッツ州ノーサンプトンにある高齢者向け公営住宅の住人たちによって1982年に結成された。グループは人気を博し、欧州、豪州、カナダでもツアーを敢行。
グループのまとめ役ボブ・シルマンによる選曲が素晴らしい。パンクやロックに書かれる歌詞の中の、悩み、苦しみ、怒り、憂鬱、喜びといった激しい感情や気分は若者の専売特許と思って疑わずにいるが、その荒削りなロック・ナンバーを彼らがシャウトし、歌い上げれば、そのリアリティは際立って、まさに魂の叫びとなる。
苦しいリハーサルに耐える時も、人生の経験で培ったユーモアで軽くかわし、粘り強く、決して諦めない。それが素晴らしいパフォーマンスとなって昇華するとき、観客との間に深い心のやり取りが生まれる。刑務所の更生施設を慰問するシーンでは、屈強な男たちが拍手喝采で、自分の祖父母に接するように抱き合い、コンサート会場で観客は、手拍子をとり、足を踏み鳴らし、大きな声で笑う。
持病と闘い、リハーサル中に仲間が亡くなるという悲しみも。でもメンバーは、観客が待っている、みんながノっている姿を見るのが生き甲斐だと、公演を中止はしない。
一緒にデュエットするはずだった相棒を失ったメンバーがソロで歌う「Fix You」(Coldplayの大ヒット曲)は、しみる。

2010年3月に来日公演があるそうです。
Young@Heart Live in Japan
http://eplus.jp/sys/web/s/yahj/index.html





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