チキンアドボ (adobong manok)


夕食は、チキンアドボ (adobong manok)  定番のフィリピン家庭料理ですね。

醤油と酢の調味液と香味野菜に骨付きチキンをマリネしてから、表面をジャッと焼き付け、漬け液ごと煮込む。はい、できあがり^^ すごく簡単、それに、甘じょっぱくて酸味も効いた煮込みソースは、大人から子どもまできっと誰にでも好まれる味でしょう。
チキンアドボ レシピはこちら
じつは、その前日にジャーニーが新ボーカルを起用するドキュメンタリーDVDを観ていて「フィリピン料理が食べたい」というリクエストがあったのでした(新ボーカルのアーネルが、ツアーを終えて家族の元に戻り、料理を楽しんでいるシーン。ものすごくおいしそう〜〜)

ジャーニーが youtubeから探し当て、アジア人のボーカリストをスカウトした(無名のシンガー、キャリア25年の40歳...!)、しかも素晴らしく良いらしいというウワサは耳にしていたので、どれどれ軽くチェックしてみようという気分で観始めたのですが、これがほんとうに素晴らしかった!

アーネルのシンデレラストーリーにも度肝を抜かれたけれど、インタビューの引き出し方の巧みさ、スピード感あって最後までまったく飽きさせない構成、家族やバンドスタッフたちの姿を撮るキャメラの視線のどれもが優しくて、なんというか人間を見抜く力の優れている監督だなぁというのがビシビシ伝わってくる。
調べてみれば、同じフィリピン出身の女性監督でした。

ラモーナ・S・ディアス監督: フィリピンで生まれ育った女性ドキュメンタリー作家。1986年のピープル・パワーでの女性の役割をドキュメントした“Spirit Rising”が国際的にも高く評価された。イメルダ夫人を描いた初の長編映画“Imelda”は、'04年サンダンス映画祭ドキュメント部門撮影賞などを受賞。
〓2012 Everyman's Journey, LLC.

ディアス監督のインタビュー記事はこちら「どんな人でも、何にでもなれる。この映画が証明するように」







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『FOOD, INC』DVD


「たべラボ」では、料理ワークショップやイベントも冬休み、畑仕事からもしばし開放される 冬シーズンに、みんなで勉強会をします。
気になるトピックについて、DVDの鑑賞会や読書会。その後はディスカッション(感想や意見を出し合う、フリートークという感じですが)
2月は『FOOD,INC』DVDです。それから関連図書として『フード・ルール』『雑食動物のジレンマ』はマイケル・ポーラン氏の一連の著書。
わたしたちが食べている「安くて、おいしい」食べものって一体どこから来るの? 漠然とみんなのキモチを覆っている「食の安全に対する不安」って、何が原因だと思う? 
わたしたちは、誰であろうと、とにかく毎日食べているわけで、自分や家族の命をつなぐ ”食べもの” そして "食べること”は、他の何よりも大切なことなのに、どういうわけか、なんとなく友人同士で口にしづらいとか、率直に話し合うことが難しい、いったい誰に聞いたらいいのかわからない...という気分が、モワ〜〜ンと漂っている。
日頃「美味しいモノ」情報をわたしたちが気軽に交換しているのなら、「安全な食べもの」についてみんなで勉強したり、シェアするのだって、これはありだよね。


フード・ルール 人と地球にやさしいシンプルな食習慣64

フード・ルール 人と地球にやさしいシンプルな食習慣64

雑食動物のジレンマ 上──ある4つの食事の自然史

雑食動物のジレンマ 上──ある4つの食事の自然史

『雑食動物のジレンマ』については、発売時に読んだ感想をブログへupしていました。ご興味ある方はこちらもご参考くださいね^^






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詳細をお送りいたします。

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『杉本文楽 木偶坊入情 曽根崎心中 付観音廻り』2011.8.15@神奈川芸術劇場


黒部市立図書館で近松の初板本が発見されたことを機に実現した、このたびの『曾根崎心中』 現行のは、先に歌舞伎の復活上演で大当たりしたのを受け、1955年新たに作詞作曲された同名の別作で、近松の原文ではないそうですね、知らなかった。
写真家の杉本博司が構成、演出、美術、映像を手がけ、豊竹嶋大夫、吉田簑助桐竹勘十郎とくれば、期待は高まるばかり〜
現代美術家が蘇らせた近松本、それも3日間限りの公演とあって、会場は華やいだ雰囲気。連日35℃越えの酷暑のせいだけではなく、観客の高揚感によって熱を帯びているかのようでした。


舞台美術がなにより素晴らしかった。一切の無駄を省いた黒い背景の装置は人形の衣裳と白い肌が冴える仕掛け。そこへ一枚付け加えられる布は、遊郭の花やいだ妖しさを連想させる赤い着物地、続いて、水辺を表現する藍染め。写真映像も盛り込まれ、いつも観る文楽とはまったく異なる演劇空間に幻惑されてしまう。このスタイリッシュさ、大胆さは、従来の文楽ファンにはいささか違和感もあろうかというほど。
でも、今まで観たことのない文楽が眼前で繰り広げられ、それを受け入れていくうちに、観る者は、文楽とはこういうものという固定観念をあっさりと越えさせられる。そして観終わった後、そこには新しい可能性が提示されているわけだから、まったくすごいことだ。やりたいこと、やろうとすることが明確でブレない人なのだなぁ。
スピーティーな運びで、最後まで一気に。時間が短く感じるほどあっという間の、でも、ものすごく濃密な時間でした。
芸術家の手によって、自分たちがこんな風に料理されるのを、古典芸能の大ベテランたちが楽しんでいるように見えて、それもよかった。
演出で、人形遣いが全員黒子の衣裳だったけれど、主遣いは顔を見せて欲しかったような気も。これは好みの問題。


ところで、この公演のことは、海外在住の友人が facebook 上にアップしてくれたリンクで知りました。朝起きて(時差があるから)公演2日目と知り、ちょうどフリーの休日だったので、開演1時間前に並んで当日券をゲット。無事に夜の公演へ滑り込むことができました。ソーシャルネットの時代ならでは、ですねー。ありがとう!


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Keith Jarrett Solo 28&29.May.2011 @オーチャードホール


キース・ジャレットのソロコンサート2011@オーチャードホール
出掛けたのは、28日29日の両日。ソロだしね、 インプロだしね、どちらの日もこれは見逃せないよと。
1日目は、友人夫妻と妹も一緒。ピアニストの友人からは、音色やテクニックの素晴らしさについて、いろいろ解説してもらいつつの、音楽愛好サークル状態。Blogを通じて交流(ディープな音楽ネタや料理&ワインのお話で盛り上がります)のある Jakeさんとも、ついにお会いするという楽しいハプニング付きで、友と過ごす賑やかな夜を楽しむ。
2日目は、昨夜の興奮も冷めやらぬまま、静かに、深く、キースワールドへ没入。
どちらが良かったとか、野暮な話は無意味。両日とも素晴らしかったに決まっている。
今回のキースは、いつもの、やや神経質な感じは陰を潜めていて、終始リラックスした雰囲気だった。音のうねりの中を探求して、死と、そして最後に命の再生を讃えるかの如しクライマックスを迎えるといった、若い頃のライブアルバムで聴くような、長丁場の構成ではなく、小休止が挟み込まれるタイトな質感。
これが、すごく良かった。演奏の合間には、鍵盤から手を下ろして余韻を残す。演奏と演奏の間の、その静寂さえもが、彼にかかると、音の世界を表現し尽くす要素になってしまう。こんな演奏に遭遇するのは初めてだ。
会場の、異様なほどの(そして、どこまでも静かな)熱気のせいか、キースが目前に居るという感激の余りか、曲と曲の間に、思わず拍手してしまう観客たちを、キースは苦笑しながらも寛容に受け入れていた。
ところが、2夜目のキースの集中力は、始まりから研ぎすまされて凄みがあった。同じその拍手に対しても、昨夜は、鍵盤に顔を向けたままさっと片手を挙げて制し、テンションを切らさずに次のフレーズを紡ぎ出す。
信じられないほどの完成度と、エモーション。聴き終わって、いつものように頭もカラダも痺れたような感覚に包まれて、心地よくクタクタになる。
そしてアンコールは、予想通りにスタンダードで。2夜目は、もう、会場総立ちのStanding ovation!
コンサートの冒頭や合間のMCで、震災についての慰めや励ましといった言葉など、一言も口にしなかったキースだったけれども、このアンコールは、日本のわたしたちへ込められた、彼の祈りそのものでした。


アンコールで2夜とも演奏された "Somewhere Over the Rainbow"
映像は84年東京公演の若々しいキース。

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「流れている川に文字を刻まないで、岩に刻め」

アウトレイジ [DVD]

アウトレイジ [DVD]

息もできない [DVD]

息もできない [DVD]

バイオレンス映画を2本続けてDVDで。
キタノブルーの美しさ、スタイリッシュな構成、渦巻く暴力と死の中に一瞬だけ現れる生の愛おしさ、久々に帰って来た北野節を存分に満喫しつつも、それを圧するほどだったのは、韓国インディーズ映画の『息もできない』
ヤン・イクチュン監督はこれが長編デビュー作だそうだ。
観終わって、脚本、監督、主演、製作、編集、ポストプロダクションまで、すべて彼の手によることを知り(途中で製作資金が無くなり、家を売って完成までこぎつけたとか)驚くと同時に、そうでなければ、これは生み出されなかった作品だったのだと思う。まさに彼の個人的な、内なるエネルギーそのものが、この映画には叩きつけられている。
現代韓国の家族の在り方とか、戦争の残した傷とか、父権についての議論やDV、虐待、家庭崩壊など、いかにも社会学的分析の格好のネタとなりそうな「衝撃の問題作」ではあるのだが、この映画の逃れようのないリアリティを前にして、そんなものは、きっとあっさりと吹き飛んでしまう。
「俳優としてキャリアを積んできたので、自分の中にある、言いたいことを吐き出そうと思ったら、自然と映画という形になった」とインタビューに答えるヤン監督は、賞を総ナメにし、依頼が殺到している今ではあるけれど、撮りたいものが満ちるまで次回作を撮る気はないらしい。
「言いたいことがあるから、映画を撮る」っていうのは、普通に考えれば無謀かもしれないけれど、この映画を見れば、自分の中の創造性に対して、いつもブレーキをかけ、水を差すのは、他ならぬ自分自身だなと痛感する。「できっこない」「そんなの無理」「自信ない」
本当にしたいこと、しなくちゃならないことが芽生えて、思わず走り出すときは、そんなネガティヴなことを考える暇もない。

ホウ・シャオシェンの言葉があって、「流れている川に文字を刻まないで、岩に刻め」、つまり、すぐに行動に移せ、川に流してしまったら残らないから、行動に移せってことをおっしゃっていたんです。その一言で影響を受けて、悩まずに自分を一歩踏み出してみようと思い、映画を撮ろうということになったんです。
ヤン・イクチュン インタビュー/OUTSIDE IN TOKYO
http://www.outsideintokyo.jp/j/interview/yangik-jun/


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『狂人の太鼓』リンド・ウォード(Lynd Ward)著

狂人の太鼓

狂人の太鼓

面白い本に出会った。木版画120点だけで構成された、文字をまったく持たない小説。

片面に刷られた版画だけが続く
ページを繰りながら、ストーリーを想像していき、どんな内容なのかは読む者に委ねられるのだが、知らぬ間につい夢中になってしまう。文字を追い、イメージの広がりを楽しむという、小説を読むいつもの行為と逆のことが起きるからだ。
いや、まったく逆っていうわけでもないかな、文字のある小説を読むとき(←なんか妙な説明ね)と同じように(それ以上に)ものすごく想像力を駆使するし。それから、人にもよるとは思うけれど、わたしの場合は、この本を眺め、ストーリーを頭の中で展開していくときに、明確な言語化というか、文章そのものを思い浮かべるやり方で進まなかった。もっと、未知の、感じたことのない知覚の領域に触れちゃった!というような衝撃だった。
まるで質の良いタロットカードと戯れるときのように、想像をかき立てられる世界。風景、象徴、意識、自我、そして洞察を巡る旅。
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『オーケストラ!』@DVD

オーケストラ! [Blu-ray]

オーケストラ! [Blu-ray]

いやー、素晴らしかった! 今年のNo.1かも。
ハラハラ、ドキドキの展開に水を差すので、ネタばれ厳禁。詳しいストーリーは明かせないけれど、ロシアの共産党政権下で職を追われた、ユダヤ系音楽家たちが、一発逆転のチャンスに賭けるというドラマ。エンディングのチャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』ノーカット、フル演奏は、それだけでも観る価値ありです。
全編を貫くユーモアのセンスが、ものすごくツボだった。絶望の淵にいるとき、生きて行くために人が最も必要とするものは、ユーモアに他ならないということをビシビシ伝えて来て、大好きな作家のミラン・クンデラを想い起こさせる。
悪趣味までギリギリというところの喜劇にお腹を抱えて笑いつつも(いったい何回爆笑したことか!)通奏低音としてひたひたと流れ続ける、怒りや憤り、何人も他人の自由を奪ってはならないのだという強いメッセージを重く受け止める。この複雑で知的な表現センス!
あまりにもドラマティックな成り行きが、少々安直で、リアリティに欠けるのでは?という批評もあるようだが、監督は敢えてこのスタイルを選んだという気がしてならない。この素晴らしいファンタジーを観終えた後、世界を振り向いてみれば、現実には心の痛いことばかりが起きていて、わたしたちが本当に自由を得られる日はいつか来るかしら?と、ため息が出てしまう。けれど、だからこそこうしてひとときの夢を見て(観て)、自由の大切さにいつも目覚めていようという、希望と祈りを感じるからだ。


帝王ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz)の演奏を見つけたので、こちらもどうぞ。『カーネギーホール』(1947年米映画)


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